ドーパミンアゴニストと首の突っ張り・側弯の関係について

パーキンソン病や類縁疾患の治療で使われるドーパミンアゴニスト。運動症状の改善に役立つ一方で、副作用として**筋緊張の異常(ジストニア)**を引き起こすことがあります。その結果として「首の突っ張り」や「側弯(脊柱の側方変形)」が現れることがあるのです。


なぜドーパミンアゴニストで筋肉が突っ張るのか?

ドーパミンは運動だけでなく、姿勢を保つための神経回路にも大きく関わっています。薬によってドーパミン受容体が過剰に刺激されると、筋肉のバランスが崩れ、ある部位だけが強く収縮してしまうことがあります。

特に首や体幹の筋肉は姿勢を維持するために常に働いているため、アンバランスが起こると「片側に引っ張られる」「突っ張る」などの違和感が出やすいのです。


寝ている時は出ないのに、起きると突っ張る理由

患者さんの中には「寝ていると症状が出ないのに、座ったり立ったりすると首が突っ張る」と訴える方がいます。

これは以下のように説明できます。

  • 寝ている時:重力の影響が少なく、筋肉がリラックスしているため症状が目立ちにくい。
  • 座位や立位:重力に抗して姿勢を支える必要があるため、アンバランスな筋緊張が強調され、突っ張りやねじれが表れる。

つまり「体位依存性の症状」であり、薬の影響によるジストニアを疑うサインのひとつです。


側弯が進む理由

このような姿勢時の筋アンバランスが慢性化すると、体幹が一方向に傾き続けます。その状態が習慣化・固定化すると、結果的に側弯が進行してしまうのです。

薬の調整やリハビリを行うことで改善が期待できる場合もありますが、長期化すると骨格自体に変化が出てしまうため、早期の対応が重要です。


まとめ

  • ドーパミンアゴニストは運動を助ける薬だが、副作用として**ジストニア(筋の異常収縮)**を起こすことがある。
  • 首の突っ張りや側弯はその表れで、特に座位や立位で症状が強くなるのが特徴
  • 早めに医師へ相談し、薬の調整やリハビリを取り入れることが大切。

患者さんご本人やご家族が「薬の影響でこういう症状が出ることがある」と知っておくだけでも、不安の軽減や対応の第一歩につながります。

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